宮崎駿原案の人形芝居「うつ神楽」京都で公演

宮崎監督原案の人形芝居、「うつ神楽」京都で公演

朝日新聞によると、宮崎駿監督原案による一人芝居「うつ各柄」が8日、京都府八幡市の石清水八幡宮の本殿で奉納された。
うつ病をテーマに、南信州に伝わる祭事をモチーフにした30分あまりの無言劇で、長野県外で初の公演となる。

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画像:朝日新聞



物語は、うつの森で「うつ玉」を食べて暮らす住人「うつ男」が、森に迷い込んだ少女と出会い次第に心を通わせ、男の陰鬱な心を内側から変えていくというもの。
劇中には、カオナシそっくりの人形が登場し、自分が勧めたうつ玉を口にしないことを怒って少女を飲み込んでしまったりと、『千と千尋の神隠し』を彷彿とさせるようなシーンも見られる。

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画像:朝日新聞



うつ男が食い溜めていた「うつ玉」は、飲みこまれた少女によって「いのり玉」へと変化し、うつ男の顔は女神の顔に変わる…
そのクライマックスまで、幻想的で不気味で不思議な世界が繰り広げられる。
小さな子が見たらトラウマになりかねないが、独特で強烈な姿に圧倒される!

「うつ神楽」を演じる人形芝居師、百鬼ゆめひな(飯田美千香)さんの公演スケジュールはこちらから
百鬼ゆめひな公演情報(外部サイト)


【動画】障遣願舞「宇津神楽」(さやりがんまい・うつかぐら)


宮崎駿原案の神楽ができるまで

「うつ神楽」は正式名称を『障遣願舞・宇津神楽』といい、南信州を舞台とした一人人形芝居。
公式PDFによると、「障遣(さやり)」とは、人間が心の障害と思っていることをどこかに遣(や)ってしまうという意味で、厄を祓い、多幸が舞い込むようにと願いを込めた舞が障遣願舞である。

宮崎駿監督から原案を持ちかけられたのは2008年。
信州に山小屋を持つ宮崎監督は信州の祭事への関心も高く、南信州に伝わる霜月祭が『千と千尋の神隠し』の着想のひとつにもなったといわれる。
(霜月祭は、神社に設置された大きな湯釜から立ち上がる湯気をつたって、神々を地上におろし、神々と里人が近しくなるための祭りで、800年以上の歴史がある)

そのような縁から、宮崎監督は「現代人の心の闇」と「神楽」の融合を提案する。
世界で活躍する南信州の人形芝居師・岡本芳一氏が脚本に取りかかるも、難病で他界。
弟子の飯田美千香さんが受け継ぎ、「うつ神楽」を完成させた。


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「宇津神楽」公式PDF