「宮崎駿監督は、”町工場の工場長”」ジブリのドキュメンタリー映画の監督が見た宮崎駿、スタジオジブリとは?

「宮崎駿監督は、”町工場の工場長”」ジブリを追ったドキュメンタリー映画の監督が見た宮崎監督、スタジオジブリとは?

スタジオジブリのアニメーション作品『風立ちぬ』制作中の宮崎駿監督を追ったドキュメンタリー映画『夢と狂気の王国』を手がけた砂田麻美監督が、およそ1年にわたって追い続けた宮崎監督とスタジオジブリの実態を語った。
東京・新宿バルト9にて行われた、スタジオジブリの出発点ともいえる名作3作を3夜限定の特別上映会「これが出発点だ。」の第2夜でのトークショーにて。

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画像:CinemaCafe.net



CinemaCafe.netによると、砂田監督は当初、宮崎監督について「実際にお会いするまでは、山の上の方にいてスタッフの方々が『先生、今日は書いてくれるかな…』と気をもむような芸術家然としたイメージを持っていた」という。しかし実際にスタジオで会ってみると、「毎日朝同じ時間に来て、画を書いて、夜9時にはぴたりと鉛筆を置く。調子がいい、悪いに関わらず、毎日それを繰り返していました。まさに職人です。ご自身も仰っていましたけど、“町工場の工場長”という感じ」で、イメージとはかなり違う印象を受けた様子。

とはいえ”洗礼”もしっかり受けたようで、宮崎監督らしいこんなエピソードも。
撮影初日に挨拶に出向いた際、虫の居所が悪かったのか、「『バカはバカ! 利口にはならない!』と言われ、初日にして終わったな…と思いました」とも語っている。
さらにそれを横で頷く鈴木敏夫プロデューサー。砂田監督曰く、鈴木Pは撮影には色々とサポートもしてくれたそうだが、こと宮崎監督がいる場所では必ず宮崎監督の側につくのだとか。これまた鈴木Pらしいエピソードだ。

そんな名コンビの洗礼も受けた砂田監督のドキュメンタリー映画では、タイトルにあるようにスタジオジブリのもつ「夢」と「狂気」を捉えようとしたというが…
「美しい、夢のような場所の裏側にはだいたい見てはいけないものが隠されている気がしていて、撮影の前にジブリにもきっと何かそういったものが隠されているんじゃないかと思っていたんです。撮影して感じたジブリの怖さは、『どうしてこんなにも平和なんだろう?』ってことでした。少なくとも私には平和に見えてました。物凄く健全な会社で、奇跡的なことなんじゃないかと思いました。興行成績で成功を収めれば、それだけお金を手にするわけで、お金って確実に人を多かれ少なかれ狂わせるものだと思うんです。それを“アニメーションを作り続ける”ってことだけに全てを投資している。スタジオ内の椅子とか作画机もずっと昔からのもので、すごいことだと感じました」

砂田麻美監督は、河瀬直美、岩井俊二、是枝裕和監督らのもとで学び、癌告知を受け死去した自身の父を撮り続けたドキュメンタリー映画『エンディングノート』で注目を浴びた。
『風立ちぬ』の主題歌にもなった荒井(松任谷)由実の『ひこうき雲』のミュージックビデオも手掛けている。
詳しくは、関連リンクにて。


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