ジブリ30年間の軌跡をたどる「ジブリの大博覧会」へ行ってきましたPart1

ジブリ30年間の軌跡をたどる「ジブリの大博覧会」へ行ってきましたPart1

愛知県は愛・地球博記念公園(モリコロパーク)で開催中の「ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~」に行ってきました。
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『風の谷のナウシカ』から最新作『思い出のマーニー』まで、30年間に生み出されたジブリ作品がどのように世に出ていったのか。その軌跡を、当時を振り返るポスターや広告宣伝物を中心にたどる展覧会です。

今回は、これまで各地で開催されてきたような、スタジオジブリの作画や美術を中心に「ジブリ作品はどのように生まれたか」を紹介する展示とは少し趣が異なり、劇場や店頭を飾った歴代ポスターやプロモーショングッズ、誌面やテレビに打たれた広告など、映画作りのもうひとつの側面「ジブリ作品はどのように世に出されたか」にスポットを当てています。

ポスターひとつとっても、ビジュアルをどうするか、キャッチコピーはどうするか、タイトルロゴはどうするか、様々な人が関わっていることがわかります。
なかでも興味深かったのは、鈴木Pとジブリ作品のコピーを数多く打ち出してきた糸井重里さんとのファックスのやりとりです。
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「カッコイイとは、こういうことさ。」は、こうして生まれた

たとえば『紅の豚』のキャッチコピー、「カッコイイとは、こういうことさ。」が生まれた背景も、2人のファックスのやりとりに垣間見ることができます。鈴木さんから糸井さんに宛てたファックスには、当時の宮崎駿監督の様子も記されていました。
糸井さんから提案されたこのコピーを見るや、宮崎駿監督は「うりゃあ~~~なんだこりゃあ?」と驚いたそうですが、続いて糸井さんのファックスにある解説を読むと納得し、スタッフにこのコピーを見せてまわり反応を楽しみながら、その解説を語ってまわったのだそうです。宮崎監督らしいエピソードで、目に浮かぶようですね。

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その糸井さんの解説ファックスも展示されていました。このコピーに込められた「カッコイイ」とは、どういうことか。
それは吉田栄作よりもビートたけし的なかっこよさに近く、「ちゃんと失敗できるかっこよさ」「まともに傷を負えるかっこよさ」「それでいて何かしでかしそうなかっこよさ」である、といったことが書かれてありました。
鈴木さんもこのコピーを気に入り、この案を「何が何でも通す!」と意欲を見せている様子もまた、鈴木Pらしさを感じました。
いい作品を、いかに生み出し、いかに売り出すか。その難しさ、責任の重大さは計り知れませんが、こうした様子を見ていると、鈴木Pは不思議といつもどこか楽しでいるように思えてなりません。

「タヌキだってがんばってるんだよォ」は、ジブリ内で流行った?

一方、『平成狸合戦ぽんぽこ』のコピー「タヌキだってがんばってるんだよォ」が決まる際の鈴木Pのファックスでは、制作が遅々として進まない高畑監督が「僕だってがんばってるんだよォ」とこぼすなど、この言葉がジブリ内で流行りそうだと伝えているのも面白いエピソードでした。
ジブリ作品には沢山の名コピーがありますが、ボツ案も含めて、どのように選び抜かれていったのかが見られるのも貴重な展示です。

ちなみに、コピーをめぐる糸井さんと鈴木さんとのやりとりは、『もののけ姫』のメイキングビデオ『もののけ姫はこうして生まれた』でも紹介されていますが、こちらも興味深い。絵コンテ、作画、アフレコから宣伝、配給、興行までその裏側を記録したもので、本編と同じくらい面白い映像です。
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その他、宮崎駿監督が『千と千尋の神隠し』でアカデミー長編アニメ賞を受賞した際のオスカー像や、ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した際のトロフィーなど、貴重な資料も見ることができます。
また、普段なかなかお目にかかれない関係者用に配られた特製グッズや、むかしなつかしいジブリグッズなども展示。
小学生以下の児童はネコバスにも乗車でき、家族で楽しめる展示です。

「ジブリの大博覧会」レポートPart2では、チケットやお土産グッズなどについても紹介します。

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