【全文文字起こし】宮崎駿監督が記者会見、辺野古基地問題など語りYOUTUBEで生中継Part1
宮崎駿監督が記者会見、辺野古基地問題など語りYOUTUBEで生中継。インタビュー全文を文字起こし。
スタジオジブリ宮崎駿監督が7月13日、東京・小金井市にある自身のアトリエにて外国特派員主催の記者会見を開いた。
約1時間半にわたる会見は記者の質問に答える形で行われ、共同代表に就任した「辺野古基金」や安保法制を急ぐ安倍首相について、制作中の短編作品についてなどを語った。
会見の内容は外国特派員協会YOUTUBEチャンネルで生中継された。その様子の録画動画と文字お越しを以下に掲載。
【動画】宮崎駿監督記者会見/外国特派員協会YOUTUBEチャンネル
引退後の宮崎監督の最近の生活、制作について
宮崎監督:僕は以前と何も変わっていません。ただ来る時間が30分ほど遅くなり、帰る時間が30分ほど早くなります。
(CGによる新しい短編アニメ制作については)今取りかかるつつあるところです。
監督の「風立ちぬ」でも軍事産業について取り上げているが、安倍政権のもとで活発化していく軍事産業について
宮崎監督:非常に残念なことだと思っています。
沖縄・辺野古に関する協力の進展は、嫌がらせなどはあったか
宮崎監督:沖縄の人の過半数以上が辺野古に基地を作ることを反対しています。まだ最終結論は出ていませんが、これから困難な道が続くんだろうと思います。それでも永続的に、長く続けるために基金を作ってあらゆることをしていこうというのが、このファンドの目的です。
直接的な嫌がらせはありません。それよりもこっそり寄ってきて「ありがとう」と言う人は何人もいました。なぜこっそり寄ってくるのかわかりませんが(笑)堂々と来ればいいのにと思いましたけど(笑)
家内は私が共同代表になった時に、それまで何も言いませんでしたが、(基金のドキュメントに)丸をつけて返信をする時にとても喜んでくれました。
日本の安全保障確保のために重要であると安倍首相が主張する安保法制について
宮崎監督:話が飛ぶようですが、イラク戦争が起こった時に日本のテレビジョンで、あるイギリスの政治学者がインタビューに答えていました。その内容を掻い摘んでお話しますと「この戦争の結果アメリカは、アフガニスタンとイラクから自分の牧場に帰ることになるでしょう。そして世界は一段と混乱するでしょう」と言いました。
今、安倍政権のやっていることは、そのことを考えてどういう方法を取るかということだと思います。私はその正反対の方法がいいと思いますが、つまり軍事力で中国の膨張を止めようとするのは不可能だと思います。もっと違う方法を考えなければいけない、そのために私達は平和憲法を作ったんだと思っています。その考えは変わっていません。
来月予定されている安倍首相の70周年談話について
宮崎監督:その談話はですね、中国の現在の政治情勢、経済情勢、それから日本における政治情勢や経済情勢の反映であって、その精神は歴史に学ぶということからずいぶん離れていると思います。ですからあんまり期待していません。
原発のような大きなテーマに関する世論調査を例にとっても安倍政権不支持は多く見られるが、なぜ日本のリベラルは大きな力を結成できないのか
宮崎監督:民主党の最初の総理は、沖縄の基地の問題についても日本全体で背負うべきであって、沖縄だけに負担させるのは間違いであるとはっきり言った方です。でもたちまち党内の勢力争いの中で引きずり降ろされてしまいました。そのあと地震と原発と立て続けに災厄に見舞われてですね、その混乱の中でとうとう自民党政権がずっとやりたくてもやれなかった消費税を、民主党が決めるはめになってしまったんです。
その結果ですね、長い政治的な無力感と不信感がこの国に蔓延ったんだと思います。自民党は過半数以上の支持を得たのではなくて、多くの人間が投票しなかったことによって天下を取ったんです。ですからこれはまた変わります、永続的なものではないと思います。
安倍首相は、自分が憲法の解釈を変えた偉大な男として歴史に残りたいんだと思いますが、愚劣なことだと僕は思っています。
宮崎監督が今、海外のメディアに一番伝えたいことは
宮崎監督:私はこの役目、つまり辺野古基金の共同代表という人間としてここに臨んでおりますから、辺野古の基地の問題、沖縄の人々が基地を撤去したいと思っているそのことをお伝え願えたら、本当にうれしいと思います。
それからもうひとつ、先ほどの人の質問でしたが日本と中国の問題の共同声明についてですね、私は、あの侵略戦争が完全な間違いで多大な損害を中国の人々に与えたことについて、深く反省しているということを明言しなければいけないと思っている人間です。それを政治的な駆け引きとして双方で何かごちゃごちゃやるのは本当によくない。あらゆる政治情勢と関係なく、日本は長期にわたる中国大陸における愚劣な行為について反省しなければならないと思っています。それを忘れたがってる人がいっぱいいることは知っていますが、忘れてはいけないことです。
[ここで以前の質問についての通訳を確認するやりとりが少し入る]
(一枚の紙を持ち上げて)ちょっと話をさせてください。この紙切れが私のところに突然届いたんです。辺野古基金の共同代表就任についての依頼状です。それともう一枚、依頼を承諾する・承諾しないに丸を付けろという紙が入っていました。私は共同代表になるような資格や能力を持っていないので本当に当惑したんです。
ただですね、沖縄という問題はここにいればなかなか伝わってきませんが、実は自分の大事な友人に沖縄のひとがおりまして、その人がですね1972年の沖縄返還の年です、5月1日に返還になりましたが、4月28日に東京の大学に入るためにパスポートとそれから注射の黄色い紙と言いましたが、伝染病の予防注射だと思いますけど、その黄色い紙を東京に持ってやってきたと。その時にその人間が感じたありとあらゆる、抑えた、非常に抑えられた感想でしたが、その時の話を思い出すと私は沖縄の人に物凄く申し訳ないと思っています。ですから、この共同代表を引き受けることにしました。
今の日米関係について
宮崎監督:僕はアメリカに非常に大事な友人たちがずいぶんいるんです。極めて誠実な本当に友情の厚い友達ですが、アメリカの文化は僕は好きではありません。アメリカの生活様式も、日本に多く浸透している色々な生活のやり方も基本的に好きじゃない人間なので、そういう色眼鏡だけで見てしまいます。
今、具体的にどういう方針をめぐってどうなのかということをここで述べることはできませんが、僕はいつか大量消費文明に終わりが来るだろうという予感の中で生きていますので、それでお答えをご勘弁してください。
安倍政権に民主主義が崩れつつあると感じる人もいると思うが、この状況をどう感じているか
宮崎監督:もともとその程度のレベルの人たちなんです。それが自分たちが数が多いと思って、のさばって姿を現しただけだと思います。非常に悲しいお答えですが。
日本人であるということはどういうことか
宮崎監督:社会の右側の端っこにいる島の人間たちで、平和に暮らせるはずの人間たちなんです。僕はそれだけです。この水と緑とで、資源といったら米がとれるくらい。今僕らが日本でやってる生活というのは、よそからかき集めてきてそれを使い尽くしていくっていう、そういう生活です。それは長く続かないでしょう。
日本人であるということはどういうことであるかというのは、僕にはよくわかりません。わかりませんが、本当の知恵は、必要な知恵は、世界の隅っこでひそやかにいようというのが一番正しいと僕は思っています。
国立大から人文社会学部を廃止する文部省の方針について
宮崎監督:歴史というものに対する感覚がひどく鈍くなっているんだと思います。いま歴史のある場所にいるんだという感覚がひどく鈍くなっていて、このままずっと続くんだろうみたいな感じがこの国の中に蔓延しているんだと思いますね。
第二次大戦の後、日本は冷戦の狭間で保守と革新というのは民主主義か社会主義かという、そういう冷戦構造の中で揺れ動いてきたんです。それが冷戦が終了した後ですね、つまりソ連が崩壊した後、はっきりした保守と革新を分ける根拠を失ったんだと思います。その再建がまだできてないんだと思いますよ。
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