ジブリ「風立ちぬ」と「かぐや姫」二人のヒロインが生きた限られた時間
ジブリ「風立ちぬ」と「かぐや姫」二人のヒロインが生きた限られた時間
スタジオジブリ宮崎駿監督の『風立ちぬ』と高畑勲監督の『かぐや姫の物語』。
両巨匠の作品には菜穂子とかぐや姫という、対照的ともとれるヒロインが登場する。
画像:産経ニュース
産経ニュースによると、「リアリズムで知られる高畑監督はかぐや姫を通じて、現代女性を描き、明朗なエンターテインメントを得意とする宮崎監督は、理想的なヒロインとして菜穂子を描いた。2人とも、両監督の作家性が色濃く反映された女性像であった。」と考えられるようだ。
山の中でのびのびと暮らしていたかぐや姫はやがて、多くの男たちから求婚を受ける「高貴な姫君」となる。
自身の美しさを値踏みする男たちに激高し、無理難題を突き付けて求婚を拒絶するかぐや姫。
日本最古の物語「竹取物語」をもとに、「女性の役割」を要求され、「女性の価値」をはかられるという現代にも通じる女性像を描いた。
山が恋しく都暮らしになじめない姫は、屋敷の庭に箱庭を作って心を慰めるが、これは現代人にとってのインターネットであるとも高畑監督。
一方、「風立ちぬ」のヒロイン菜穂子は、美しいところだけを見てもらいたいと願った。
次郎もまた、菜穂子に言うのは「きれいだよ」とばかり。
次郎が夢見ている美しい飛行機を作ることは、美しくも呪われた夢。サバの骨を美しいというように、菜穂子の美しさを愛した。
当時不治の病であった結核に侵されながらも、短い時間を愛する人の前で美しくあリ続けた菜穂子。
リアリスムの高畑監督と理想主義の宮崎監督の特徴が色濃く表れた二人のヒロイン。
しかしそこに共通するのは、月に帰るまでの時間と2人で過ごせる僅かな時間、限られた時間をいかに生きるかということのようだ。
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