ジョン・ラセター氏から宮崎駿監督に3つの質問

コミコンに登場したスタジオジブリの宮崎駿監督へ、ピクサーのジョン・ラセター氏からの質問。

【動画】Hayao Miyazaki Comes to Comic-Con

米国最大のアニメーションとマンガの祭典サンディエゴ・コミコン2009に宮崎駿監督が登場した際の動画です。

長年の親友でもあるピクサーのジョン・ラセター氏が宮崎監督に質問をしていきます。
以下、ラセターさんの質問の日本語訳です。

ラセターさんからの質問1
Q.宮崎監督は、どのようにストーリーやストーリーボードを作りだしているのか?


A.ひたすら考えて考えてひねり出している。

もっといい方法があったら教えてほしいという宮崎監督に、会場からは笑いが。

ラセターさんは、ピクサーでは何度も何度もチームで試行を重ねて作り上げていくのに対して、宮崎監督がひとりきり机に向かって作り出していること、そのストーリーボードがとても美しいことに、非常に感銘を受けているようです。

ストーリーボードをひとりでやるのは、日本では特別なことではない。ただ、自分は進みが遅いのでずっと机に向かっているように見えるだけだと答える宮崎監督。

このことについては、DVD「ラセターさんありがとう」でも、宮崎監督に興味深げに尋ねているラセターさんの姿が見られます。
日米の制作現場の違いも相まって、驚くべき点のひとつなのでしょう。質問というより、その創造力の凄さについて熱弁するラセターさん。

ラセターさんからの質問2
Q.宮崎監督は、どのようにポニョのアイデアを思いついたか?


A. ポニョははじめ、ブリキのカエルだった。
宗介がブリキのカエルを拾うという設定だったのだが、カエルがどうしてもキャラクターにならなかったため(カエルのキャラクターは既に世にあふれている)、金魚にした。


個人的には、カエルのような顔の半魚人ポニョが特に好きですけどね!グッズも可愛いです!

ラセターさんからの質問3
Q.制作のどの段階で久石さんとのやりとりが行われるのか?


A.久石さんとは映画制作の早い段階から打ち合わせをする。
キャラクターや世界観をメモしたものを渡し、そこから自由に作曲してもらう(イメージアルバム制作)。
まずはイメージを音楽にしてもらい、映画が少し形づいてきてから、より具体的な音作りへと進んでいく。


宮崎アニメに欠かせない美しい音楽を書く久石譲氏についての質問もありました。
ラセターさんの口から久石さんの名前が出ると、会場からも拍手と歓声が沸き起こります。

おまけの質問
Q. 『崖の上のポニョ』は、これまでで最も色鮮やかな作品だと思うが、その背景にはどのようなアイデアが?


A.世界をシンプルに描きたかったためと、主人公ポニョが真っ赤な金魚なので、他の色もそれに負けないような色にしなければならず、鮮やかな色彩になった。

この動画には含まれていませんが、もうひとつ「色」についての質問もありました。
宮崎アニメの色を決めてきた色彩設計・保田道世さんは、『崖の上のポニョ』を最後に引退。
宮崎監督の”戦友”が務めた最後の仕事、その職人技の真骨頂でもありました。
(保田さんは引退され、ジブリ美術館で上映している短編作品などに参加しています)